名医ヘルマン・ブールハーフェについて

17~18世紀にかけて活躍したオランダの名医、ヘルマン・ブールハーフェは、ライデン大学の教授として医学と化学を教えながら、「医学論」や「箴言」といった大著を書き上げました。

あらゆる植物に精通し、近代臨床医学の創設者とされているブールハーフェは、不思議な遺作を残して亡くなりました。

彼の遺作の中に発見された一冊の書物は厳重に封印され、「医学最大の秘密」と題されていました。名医であった彼が、あらゆる病気の治療法を書き残したに違いないと考えられ、遺作の競売は話題となり、ついに1万グルデンの高値で競い落とされました。

その後、買い手がおそるおそるその封印を切って書物を開いた時、最初のページのみ一言書かれているだけで、後は白紙の状態、どこまで開いても白紙でした。

その最初の一言とは……

「頭部を冷やし、足を温めよ、体を楽にせよ。これで全ての医者は不要になる」

人間にとって最良の妙薬は、頭寒足熱につきるとの遺言だったのです。